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2014年8月

2014年8月30日 (土)

野の花ファームのハーブ(7)

今回はちょっと珍しいハーブのセイヨウニンジンボクと、和のハーブのゲンノショウコ、山菜として知られているオオバギボウシを紹介します。

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 セイヨウニンジンボク(Vitex agnus-castus)はクマツヅラ科ハマゴウ属の低木です。イタリアニンジンボク、チェストツリー、などの名前でも知られています。原産地は南ヨーロッパから西アジアにかけた一帯です。夏の終わりに、唇形をした淡い紫色の小さな花をたくさんつけます。 花の色には白いものもあります。花の後にできる実は球形の核果(水分を多く含み中に種が1つある)です。この実は古くから生理痛などの婦人科疾患に用いいられてきた歴史があります。近年の研究では、女性ホルモンの分泌に関与することが明らかにされ、生理前症候群(PMS)や更年期障害などに利用されています。

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ゲンノショウコ

 ゲンノショウコ( Geranium thunbergii)は、フウロソウ科フウロソウ属の多年草です。生薬のひとつであり、和名は「(胃腸に)実際に効く証拠」を意味する。玄草(げんそう)ともいいます。ゲンノショウコはドクダミ、センブリなどと共に、日本の民間薬の代表格です。根・茎・葉・花などを干し煎じて下痢止めや胃薬とし、また茶としても飲用します。飲み過ぎても便秘を引き起こしたりせず、優秀な整腸生薬であることから、イシャイラズ(医者いらず)、タチマチグサ(たちまち草)などの異名も持っています。

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オオバギボウシ

オオバギボウシ(Hosta montana)はクサスギカズラ科ギボウシ属の多年草です。北海道、本州、四国、九州までの広い地域に分布し、山地の草原や林縁に見られます。早春の若葉は山菜のウルイとして利用されています。

2014年8月23日 (土)

野の花ファームのハーブ(6)ミント類

 今回は当ファームのミント類のご紹介です。ミント類は、交配しやすくさまざまな品種があります。ご自宅で栽培するときは、交配しないように離して植えることが必要です。よく知られている品種には、ペパーミント、スペアミント、アップルミントなどがあります。

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ホワイトペパーミント

ペパーミント(Mentha x piperita L.)は、ヨーロッパ原産のシソ科ハッカ属の多年草です。和名はコショウハッカ、セイヨウハッカです。ペパーミントは、Mentha aquatica L.(ウオーターミント)とM. spicata L.(スペアミント)の自然交雑種であると考えられています。多くの品種、系統、またはケモタイプが栽培されており、ABC(アメリカ植物評議会)の拡張モノグラフによれば、"ミッチャム"( 薬用品種のrubescens形状 ) "ホワイト"(薬用品種のpalescens形状)、 " ブラック"(普通種 )、そして同様にsylvestris 種のrubescens形状を含んでいます。一般に、日本では”ブラック”種がペパーミントとして販売されていますが、当ファームの品種は”ホワイト”と思われます。ペパーミントは、L-メントール成分を多く含んでいることで知られており、葉を摘み取って、乾燥させたものが、菓子•ハーブティーなどに広く用いられています。又、その精油も広く使用されており人気があります。

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アップルミント

アップルミント(Mentha suaveolens)もまた、シソ科ハッカ属の多年草で、ヨーロッパの西部から南部、西アジアにかけて分布しています。葉が円形で、表面の凹凸が目立ちつのが特徴です。葉に斑入りの品種をパイナップルミントといいます。6月から7月ごろ、茎の先に穂状花序をだし、白い花を咲かせます。青リンゴの香りがあり、ハーブティーや香辛料、サラダなどに利用されます。和名では「まるばはっか(丸葉薄荷)」と呼ばれています。日本へは栽培用として渡来したものが逸出し野生化しています。

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ホースミント

ホースミント(Menta longifolia)も又、シソ科ハッカ属の多年草です。匍匐性で、毛のある葉をもち、葉はこするとペパーミントの香りがします。同じ名前の(Monalda punctateh)は、ベルガモットの近縁種の違う植物ですので注意が必要です。英国王立園芸協会のハーブ大百科には、”主としてアジア料理に利用される”と記載されています。

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ボールズミント

ボールズミント(Menta×villosa var alopecuroides)は、変異種にとんだ、スペアミントとパイナップルミントの交配種です。卵形の鋸歯縁の葉は柔らかい毛に覆われており、アップルミントに似た香りをもっています。スペアミントやアップルミントと同じように利用されます。

参考資料

*英国王立園芸協会 ハーブ大百科

*ハーブの写真図鑑 :日本ヴォーグ社

*ハーブ図鑑、ジュニー•ハーデイング著:ガイアブックス 

*ABC拡張モノグラフ

2014年8月15日 (金)

蔵王ハートランド

先日ご紹介した(財)蔵王酪農センターのふれあい牧場の、蔵王ハートランドの写真です。

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ふれあい牧場ハートランドは、当ファームより車で5分ほどの広大な蔵王酪農センターの牧場の一画にあります。蔵王の山麓にある牧場全体の面積は、約100ha。およそ東京ドーム20個分の大きさです。

 牛やヒツジなどが飼育さていて、動物たちを直接触れるコーナーをはじめ、チーズ料理の喫茶店やジンギスカンハウス、チーズづくりやソーセージづくりが体験できる施設(要予約)があり、一日中楽しむことができます。

 この日はお盆の帰省期間ということもあるのか、たくさんの家族づれでにぎわっていました。

2014年8月 9日 (土)

野の花ファームのハーブ(5)

今回ご紹介するハーブは、フェンネルとソープワーとヒソップです。

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フェンネル

フェンネル(Foeniculum vulgare)は、セリ科ウイキョウ属の多年草です。和名はウイキョウ(茴香)で漢方薬の生薬としても使用されています。フェンネルはギリシャ、ローマ時代から野菜やハーブとして栽培されてきました。葉と種子は魚料理に加えることで有名です。薬用としては芳香性の健胃剤として、消化不良、ガス、疝痛などに使用されています。

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ソープワート

 ソープワート(Saponaria officinalis)はナデシコ科ザボンソウ属の多年草です。ソープワートの属名サポナリアはラテン語の石鹸からきた言葉です。サポニンを含んでおり、石けんが大量生産されるようになるまでは洗浄に使用されていました。薬用としても、痛風や皮膚疾患などなどに利用されていましたが、消化管系に炎症を起こすため今日ではほとんど使用されていません。せっけんとしての利用の場合も、目にはいるとひどい炎症を起こす事があるので注意が必要です。

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ヒソップ

 ヒソップ(Hyssop officinalis)はシソ科ヤナギハッカ属の多年草です。古代からあるハーブで旧約聖書にもその記述があります。一般的には青紫の花を6〜8月につけますが、写真はピンク色の花の栽培品種です。薬用としては咳止め用のハーブとしてよく使用されています。この精油は過剰摂取で痙攣発作の危険性があり、国によっては法規制の対象となっているので注意が必要です。

参考資料

*英国王立園芸協会 ハーブ大百科

*ハーブの写真図鑑 :日本ヴォーグ社

*ハーブ図鑑、ジュニー•ハーデイング著:ガイアブックス 

2014年8月 2日 (土)

野の花ファームのハーブ(4)

今回ご紹介するハーブは、オレガノとアニスヒソップとベルガモットです。

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オレガノ 

オレガノ (Origanum vulgare) はシソ科ハナハッカ(Origanum)属の多年草です。ヨーロッパの地中海沿岸地方が原産で、香辛料としてお馴染みで、イタリア、ギリシア、メキシコ料理には欠かせないハーブです。和名はハナハッカ(花薄荷)。古代ギリシア時代から薬草としても知られており、英国園芸協会のハーブ大百科には”風邪、インフルエンザ、軽い熱性疾患、消化不良、ガス、月経痛に内服する。外用薬として気管支炎、喘息、関節痛、筋肉痛に有効。”と記載されています。

 このハーブは蔵王の地に合うのかよく成長して大きくなります。

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ワイルドベルガモット

ワイルドベルガモット(Monarda fistulosa)は、シソ科モナルダ(monarda)属の多年草です。その燃えさかるような炎のかたちをした花の形からタイマツバナという別名があります。この属の植物は北米原産の12種類があり、花の色は赤、ピンク、白、紫などで、草丈は大きいものでは1mを越します。花に芳香がありその香りがイタリア産のベルガモットオレンジに似ているところからこの名前が付いたといわれています。花は観賞するだけでなく葉とともにハーブティーとして利用されることもあります。殺菌効果のあるチモールという成分を含んでいてのどの痛みや気管支炎に効果があるといわれています。

 英国王立園芸協会のハーブ大百科には”葉は肉と豆料理の香味料に使用される。若い葉と芽の浸出液は茶にする。”、又、”風邪、喉の痛み、カタル、頭痛、発熱、消化管機能不全に内服する。外用薬として皮膚の発疹に有効。”と記載されています。

 このハーブもまた、毎年よく成長して大きくなります。

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アニスヒソップ 

アニスヒソップ(Agastache foeniculum)は、北米原産のシソ科カワミドリ属(Agastache)の多年草です。アガスターシェや、ジャイアントヒソップ、フェンネルヒソップなどとも呼ばれています。この花からはほんのりアニスの香りがする上質の蜂蜜がとれます。北米の先住民はこれを茶にしたり、甘味料にしていました。 長い花穂にシソ科特有の小さな唇形花を咲かせます。 紫色が一般的ですが、白や桃色の品種もあります。 

 英国王立園芸協会のハーブ大百科には、”アニスの香りがする葉は、サラダに加えてもよい。”、”アメリカ原住民の数部族では、咳止めの伝統薬として内服する。”と記載されています。

参考資料

*英国王立園芸協会 ハーブ大百科

*ハーブの写真図鑑 :日本ヴォーグ社

*ハーブ図鑑、ジュニー•ハーデイング著:ガイアブックス 

プロフィール

フォトアルバム

阿部俊暢

宮城県仙台市出身。定禅寺通りのけやき並木と同じ1958年生まれ。2003年阿部代表とともに定禅寺ハーブギャラリーを開業。夢は世界中のハーブを集めたハーブ農場の開設。JAMHA認定ハーバルセラピスト、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。